遺産分割

 遺産分割はどのように行うのでしょうか。
 遺産の確認、遺言書の検認、遺産分割の話合い、遺産分割の調停等、遺産分割の流れ、方法等についてのご説明です。

 相続の発生、相続財産等の確認

相続発生  
 
預金の凍結など 銀行に届出。
相続人の確認 被相続人の戸籍一式を取得します。
婚外子が判明することもあります。
相続財産の確認 銀行で残高証明、履歴を取得します(戸籍謄本一式が必要です。)。
不動産があるときは不動産登記簿謄本を取得します。不動産登記簿謄本から権利関係、担保設定の有無が分かります。
弁護士照会で分かる場合もあります。
同居していなくて亡くなった方の遺産が分からないときには、同居していた相続人に確認することも必要でしょう。
(検認) 自筆証書遺言の保管者は家庭裁判所の検認手続を行うことが必要です。
遺留分減殺請求 遺留分が侵害されている場合(侵害されている可能性がある場合)には、相続の開始及び減殺すべき贈与または遺贈のあったことを知った時から1年以内あるいは相続開始のときから10年以内に遺留分減殺の意思表示を行う必要があります。
対象不動産に処分禁止の仮処分をかけることもありますが、保証金が必要です。
 
(話合い) 遺産分割等の話合いを行うことにより解決することがあります。
 
(遺産分割協議書の作成) 話合いで合意ができた場合には遺産分割協議書を作成します。
遺産分割協議書を作成する場合には、相続人の人数分作成し、実印を押します。
 
遺産分割協議書の実現 預金の解約、不動産登記等を行います。不動産については早めに登記した方がよいです。放置していて次の相続が発生するなどしてはやっかいです。

 遺産分割の調停・審判

遺産分割の調停の申立 話合いで解決できないとき、話合いで解決する見込みがないときには、家庭裁判所に遺産分割の調停の申立を行い、調停の場で話合いを行います。
 
(調停成立) 調停が成立すると、裁判所が調停調書を作成します。
 
(審判) 調停で話がまとまらない場合、裁判所が審判を行います。
 
(即時抗告) 裁判所の審判に不満がある人は審判内容の変更を求めて即時抗告を行うことができます。

 遺産分割の法律相談をするとき、弁護士に依頼する場合

遺産が分からないとき

 亡くなった方と同居していない相続人には相続財産も相続債務も分からないことがあります。
 法律相談で可能な調査方法を知ることができます。
 また、不動産については、不動産登記簿謄本に権利関係、担保設定状況が記載されているのですが、専門家でないと記載内容が分かりにくいので、登記簿謄本を持参して権利関係を確認することも可能です。
 最終的には、やはり遺産を把握している相続人に確認する必要はあり、その相手方が懇意にしている人であれば簡単に確認できますが、そうでない場合には、まずは自分で調査することから始めることが多いでしょう。

 

遺留分減殺請求の意思表示をする必要があるとき

 遺留分を侵害されているとき、侵害されている可能性があるときには、早めに遺留分減殺請求の意思表示をしましょう。
 遺留分減殺請求の意思表示は内容証明で行います。
 意思表示後、相手方と交渉して、遺留分減殺請求を実現することになります。
 例えば、不動産の遺贈について減殺の意思表示をして持ち分4分の1を取得したとしても、その不動産を売却して4分の1もらうとか、代わりに現金で代償金をもらうなどの処理が必要です。
 遺留分減殺請求権を行使するかどうか分からなくても、まず法律相談を受けてみましょう。贈与、遺贈があったことを知った時から1年経過してしまい、後で遺留分減殺請求をしたくてもできなくなっては困ります。

 

遺留分減殺請求の通知書が届いたとき

 相手方と話し合ったり、調停の場で話し合う必要がありますので、まず、通知書や遺産に関する資料(どのような遺産があるか、遺産に関する資料など)をお持ちいただき、法律相談を受け、それからどうするかを検討されるとよいでしょう。
 相続の問題は法律問題ですので、一人で悩んでいてもらちがあきません。法律の専門家である弁護士にご相談下さい。

 

法律的には、どのように遺産分割するのが相当かを知りたいとき

 遺産に関する資料、できれば経過をまとめた表をお持ちになって、法律相談にいらして下さい。
 遺産分割に関しては、寄与分、特別受益、その他色々なことを考えなければいけませんので、弁護士の法律相談を受けることをお勧めします。

 

他の相続人と直接遺産分割の話合いをしたくないとき

 他の相続人と直接遺産分割の話合いをしたくないことは間々あります。

  • 親族であるがゆえに、直接遺産分割の話をしたくないとき
  • 元々相手方と仲が悪いので直接話をしたくないとき
  • 相手方が婚外子などで、ほとんど交流がないとき
  • 相手方が感情的になっているとき

 そのようなとき、法律相談を受け、弁護士に依頼することも可能です。
 ご依頼いただく場合には、費用をご説明し、受任契約書を作成します。受任契約書には、遺産分割協議が成立した場合の成功報酬の計算方法も記載されていますのでご安心下さい。

 

およそ話合いでの解決は不可能と思われるので遺産分割の調停を申し立てるとき

 話合いが無理であれば遺産分割の調停の申立を考える必要があります。
 中には、相続が発生してからそのままにしていて何十年も経過し、次の相続が発生してしまい、相続人が膨大な数になり、収拾がつかなくなってしまうケースもあります。放置すると益々やっかいになり、次の代につけを回すことになってしまいます。
 複雑な内容でなければ、遺産分割の調停の申立を御本人で行うこともありますが、複雑な内容のときには弁護士を依頼した方がよいでしょう。
 いずれにせよ、相続は複雑な法律問題がからむので、インターネットなどでご自身で研究するだけで進めるのは危険です。

 

他の相続人から遺産分割の調停の申立がなされたとき

 内容が複雑でなければご自身で家庭裁判所に出頭して調停手続を進めることも可能です。
 複雑な場合には、やはり弁護士を頼んだ方が良いでしょう。
 いずれにせよ、まず法律相談を受けてから進めることをお勧めします。