療養看護型の寄与分

 看護・介護の寄与分はどのような場合にどの程度認められるのでしょうか?
 家庭裁判所の遺産分割の調停で寄与分を主張する場合にはどのように主張すればよいのでしょうか?
 についてのご説明です。

 看護・介護の寄与分

 寄与分が認められる要件に該当することが必要です。
 相続人が実際に療養看護を行う場合と、第三者に療養看護を依頼し、その費用を負担する場合があります。
 被相続人が入院していた場合には、家族の付き添いの要否、在宅看護、介護の場合には、どの程度の看護、介護が必要だったかを検討し、看護、介護の内容、期間、被相続人との関係、看護・介護のために失った収入などを考慮して、寄与にあたるか否か、寄与分の額が決められます。 

 看護・介護の寄与分の主張立証

 家庭裁判所の調停で介護の寄与分を主張する場合には、時系列で一覧表を作成し、具体的に、何時、どのような介護を、誰が何時間位行ってきたかをまとめることが適切です。

 看護・介護で寄与が認められた例

 看護・介護で寄与が認められた例をご紹介します。

  • 認知症の症状が顕著となった被相続人に対する身上看護について特別の寄与があったことを認め、その金額については親族の介護であることを考慮し、1日当たり8000円程度と評価された例
  • 被相続人の認知症状が進行してから死亡するまでの10年間、常に付き添って療養看護に尽くした相続人に対し、その療養看護は同居の親族の扶養義務をはるかに超えるものであって、付添婦を雇った場合支払うべき費用の支出を免れ、その結果相続財産の減少を免れたことは明らかであるとして、療養看護の期間のうち前半の6年間については付添婦の賃金の基本料金、後半の4年間については基本料金に時間外手当を加算した額を合計し、合計額の60パーセントに当たる1182万6000円を寄与分として認めた事例
  • 相続人の長男の妻が、高血圧と心臓病の悪化により寝たきりになった被相続人を付きっきりで看護したことは、親族間の通常の扶助義務の範囲を超えるものであり、被相続人はこれにより療養看護の負担を免れ、遺産を維持することができたと考えられるとして、通常の扶助の範囲を超える額として、被相続人死亡直前の6ヶ月間は月額9万円、それ以前の22ヶ月間は月額3万円を寄与の額として認め、遺産約851万円に対し、120万円を寄与分とした事例
  • 2年6カ月にわたり被相続人を引き取り、高齢のため衰弱し入退院を繰り返すようになった被相続人に対し、日常の世話はもとより入退院の付き添いなど療養看護に努めた相続人に対し300万円の寄与を認めた事例