示談とは

 示談とは

 示談とは、加害者が被害者に対して、一定額の損害賠償の支払を約束し、被害者はその一定額の支払を受ける以外に加害者に対し損害賠償を一切請求しないという当事者の合意のことをいいます。
 普通は、賠償額等につき争いがあり、双方が互いに譲歩をしあって示談することから、示談は民法第695条の和解にあたります。

 示談の効果

 示談が成立すると、後でもっと損害が増えた、別の損害を忘れていたとしても、原則として再びやり直したり、追加で請求することはできません。示談は終局的解決を図るものであり、示談書には、示談書に記載されている損害賠償義務以外に債権債務がないことを記載することが通常だからです。
 従って、示談書を交わすときには良く検討の上、交わすことが大切です。できるだけ、弁護士の法律相談を受けてから交わすことをお勧めします。
 特に、傷害を負った場合には基本的には症状固定後に示談します。後で症状が重くなっても、基本的にはより重い症状が生じたことによる損害賠償をすることはできません。

 示談の無効、取り消し

 このように、基本的にはやり直しはできませんが、まれに、公序良俗違反や要素の錯誤により無効となったり、詐欺または脅迫により示談を取り消すことが出来る場合もあります。
 そこで、特別な事情がある場合には、弁護士の法律相談を受けて、示談の無効、取り消しの主張ができないかを検討しても良いでしょう。ただ、これらの主張が認められるのはあくまで例外的な場合に限られますので、示談をするときには、慎重に行わなければなりません。

 示談後に予測できなかった後遺症が生じたとき

 但し、示談当時予測できなかった後遺症が生じた場合は別ですので、そのような後遺症が生じた場合には、弁護士の法律相談を受けて相談してみて下さい。
 最高裁の判例で下記のように判示しているものがあります。
「交通事故による全損害を正確に把握しがたい状況の下において、早急に、少額の賠償金をもって示談がされた場合において、右示談によって被害者が放棄した損害賠償請求は、示談の当時予測していた損害についてのみと解すべきであって、その当時予測できなかった後遺症等については、被害者は、後日その損害の賠償を請求することができる」(昭和43年3月15日)
 そのため、示談書を作成する際に「予測できない後遺症が発現したときには別」である旨記載することもあります。
 何れにせよ、予測できなかった後遺症による損害賠償が認められるのも例外ですので、傷害事故で示談をするときには慎重にする必要があります。