保険会社の提示金額、弁護士の交渉

 保険会社から示談金の提示をうけている場合に、弁護士に依頼することにより、金額が上がることはあるのでしょうか。

 保険会社は、自社の基準に基づいて慰謝料額や逸失利益の計算を行い、提案します。しかしながら、この金額は基本的に、裁判で認められる金額より低額なものです。従って、後遺障害等級につき、被害者側と加害者側の認識が一致していても、保険会社の提示額は裁判基準より低額になってしまいます。
 後遺障害等級について、加害者側と被害者側の認識に違いがある場合には、逸失利益や後遺症慰謝料額が大きく異なることになります。
 従って、保険会社から金額の提示がなされても、それは絶対のものではないので、そのまま示談せず、良く検討することが必要です。
 弁護士が交渉の依頼を受けると、弁護士は、当該事故の状況、後遺障害の程度等を踏まえ、損害賠償請求額を計算し、計算根拠を明示して保険会社と交渉します。弁護士は、裁判所で認められる可能性のある金額を踏まえて保険会社と交渉するため、保険会社も裁判になった場合に弁護士が提示している金額が認めらる可能性があると判断した場合には、無駄な訴訟をしても意味がありませんので、弁護士から提示された金額で示談することに同意します。従って、金額が上がるのが一般的です。
 もちろん、保険会社があくまで自社の金額を固持し、交渉がまとまらないこともあり、その場合に、訴訟まで行うかは依頼者の方と良く相談して決めることになります。
 また、保険会社と被害者側で後遺障害等級の考え方に違いがあるときなどは、訴訟で解決することになりますが、交渉で合意に至ることは多いです。